理系の文系就職はもったいない?むしろ有利な理由を元人事が解説

理系
院まで進んで文系就職はもったいない?
研究はもうやりたくない。でも、理系の文系就職って不利なのかな?

研究職・技術職よりも、営業職・総合職に興味があり、文系就職しようか悩んでいる理系学生は意外に多いと思います。

かく言う私も、理系院卒でありながら総合職として新卒入社しています。研究も楽しいですけど、文系職種の働き方や都会のオフィスは魅力的ですよね。

本記事では、理系院卒で文系就職した日系大手メーカーの元人事が、理系の文系就職に対する企業側の本音を解説します。

先に結論をお伝えすると、理系の文系就職はもったいなくないですし、就職も入社後も有利になることが多いです。

文系就職した実体験&人事の視点から、理系の文系就職が有利な理由・注意点・オススメの業界を徹底解説しますので、ぜひ参考にしてください。

元人事Mayuka
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文系就職を考えている理系学生の気持ちも、理系を総合職として採用する人事の気持ちもわかるため、お役に立てると思います!

理系院卒の元人事がすすめる【理系に特化した就活サイト9選】はこちら

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理系の文系就職はもったいない?

高い倍率をくぐり抜け、高い学費を払い、一所懸命に勉強や研究をしてきた人こそ、文系就職を「もったいない」と感じるかもしれません。

「もったいない」だけでなく、家族や教授に対して後ろめたさを感じる人もいるでしょう。

しかし、理系・文系で年収の差はほとんどありませんし(文理より業界による差が大きい)、研究職や技術職は自分には合わない・やりたくないと感じているのに、「もったいない気がするから」という理由だけで理系の仕事を選ぶのはオススメできません

新卒入社してから定年退職まで約40年。ここ4〜6年の経験に縛られて我慢し続けるか、それとも今一度やりたいことを見つめ直して新たな一歩を踏み出すか。

長期的な視点で考えると、「理系」に縛られてこれからのキャリアを選択する方がもったいないと思いませんか?

かくいう私もとても迷いました。研究を続けたいと思ったからこそ大学院まで進み、ただ、大学院まで進んだからこそ、自分が本当にやりたいのは研究じゃないと確信できました。

「どっちにしようかな」と悩んでいる方には強要しませんが、「文系就職したいけど、もったいないかな…」と尻込みしているのなら勇気を出して一歩踏み出してみましょう。

大切なのは、どの道を選ぶかより、選んだ道をどう生きるか。

ブリジット・バルドー

やってみないとわからないと言ったら身も蓋もないですが、選んだ道を正解にするというマインドは大切だと思います。

元人事Mayuka
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私は理系院卒→文系就職(総合職)→フリーランス。大変なこともありましたが後悔はしていません。

▶︎理系の文系就職|後悔してないけど大変だったこと7選【実体験】

ちなみに、理系の文系就職が不利ということは一切ありません

私は日系大手メーカーの新卒採用担当でしたが、文系・理系を区別して面接したことはなく、学部問わず「一緒に働きたい」と感じた方を採用していました。

また、院卒は学部卒より基本給が高いですが、人件費の高さがネックになることもありません。

ただし面接では、なぜ文系就職したいのか、必ずと言っていいほど理由を聞かれます。この質問に対して、しっかり前向きな理由を答えられれば概ね問題ないでしょう。

なぜこんな質問をするのか、面接官の意図や答え方のポイントは以下の記事で解説しています。ぜひあわせてご確認ください。

▶︎理系が文系就職する理由を聞かれたら?答え方・面接官の意図を元人事が解説

理系の文系就職が有利な理由

理系の文系就職は、もったいないどころかむしろ有利

人事の視点から見ても、実際に文系就職した院卒理系の身としても、理系の文系就職は就活だけでなく入社後も有利になることが多いです。

ここからは、理系の文系就職が有利といえる3つの理由を解説していきます。

1.仕事に必要な基礎スキルが身についている

理系学生は、論理的思考力や問題解決力などの社会人基礎力が高い傾向にあります。

研究で培った専門性や知識を活かせる場面こそ少ないかもしれませんが、研究を通して身につけたスキルは、就活だけでなく入社後も高く評価されます

周りが理系ばかりの環境だとなかなか気づかないかもしれませんが、以下のスキルは日々の実験や文献調査、論文作成や学会発表などで磨かれた理系学生の強みです。

研究を通して磨かれるスキル


・論理的思考力
(ロジカルシンキング)
・問題解決力(課題発見力、分析力、計画力、実行力)
・情報処理能力
・忍耐力、やり切る力
・プレゼンテーション能力
・文章力
・PCスキル など

 

論理的思考力が高い人は、志望動機や自己PRなどを論理立てて伝えられます。説得力のある志望動機なら、企業に対する熱意も伝わるでしょう。

実際に面接していて「理系学生は説明が上手で優秀だな〜」と感じる場面は多々ありましたし、同僚や上司も理系学生を高く評価していました。

また、知的好奇心や学習意欲が高く、楽しみながら研究に取り組んでいる様子も好印象でした。

さらに、上記のスキルは入社後も高く評価されるため、就職後のキャリアも有利といえます。

元人事Mayuka
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手前味噌で恐縮ですが、私は入社後、商品企画や改善提案書の内容やプレゼンスキルが評価され、同期よりも早く昇進できました

2.レアだからこそ人事の印象に残る

理系で文系就職する人は少数派のため、人事の興味を引き、印象に残りやすいのもメリットです。

他の就活生にはないバックグラウンドや強みをもっているため、差別化がはかれます。

多様な人材を獲得したいと考える企業では、特別枠として採用される可能性もあるでしょう。

元人事Mayuka
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私は少し変わった研究テーマだったので、面接のときは色々と(恐らく興味本位で)質問されました。アイスブレイクになったし、名前も覚えてもらえたのでいい思い出です。

3.準備次第で志望動機に説得力が生まれる

理系が文系就職する場合、「なぜ文系就職したいのか」「なぜこの業界なのか」といった質問は必ず面接で聞かれます。

その際、自分が将来やりたいこと・目標や価値観が変わったきっかけ・決断に至るまでの背景などを踏まえて説明できれば、一段と志望動機に説得力が生まれます。

どんな想いで志望しているのかが伝われば、企業や仕事に対する熱意も伝わるでしょう。

ただし、準備不足で上手く答えられなかったり、ネガティブな理由を答えてしまったりすると、マイナス評価どころか不合格になってしまう可能性が高いです。

たとえ「研究はやりたくない」が本音だったとしても、ポジティブな理由を探し、面接では前向きな理由を明確に、そして自信をもって答えられるよう準備しましょう。

文系就職の理由について、面接官の質問の意図や答え方のコツは以下の記事で解説しています。ぜひあわせてご確認ください。

▶︎理系が文系就職する理由を聞かれたら?答え方・面接官の意図を元人事が解説

理系が文系就職するときの注意点

理系の文系就職はメリットが大きい反面、デメリットともいえる注意点が2つあります。

1.文系より就活に時間を割けられない

理系学生は、文系学生と比べて就活に割ける時間が少ない傾向にあります。

文系学生と同じ業界・企業・職種を目指しているのに、準備や対策の時間が取れないのは大きなデメリット

就活は自己分析・業界研究・企業研究・Webテスト対策・ES提出・面接対策など、やることが山積みです。

元人事Mayuka
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「卒論は就活が終わってからでOK」の文系が当時はうらやましかった…。

しかし、研究や学業を疎かにするのはよくありませんし、したくない方も多いはず。そのため、逆求人サイトを活用して、文系とは違う戦術を取るのがオススメです。

逆求人サイトとは

企業側が学生のプロフィールを見て、「うちの選考を受けませんか?」とオファーを送る仕組みの就活サイトのこと。

各社の採用担当が適性を見たうえでスカウトするため、自分の価値観とあう企業や、自分では見つけられなかった隠れ優良企業と出会えるのがメリット。

逆求人の仕組み

▶︎逆求人とは?メリット・デメリット、オファーを増やすコツを元人事が解説

前述の通り、理系学生には理系ならではの強みがあります。

逆求人サイトならその強みが企業の目に留まり、自分を評価してくれる企業からオファーが届きます。プロフィール入力したらあとは「待つだけ」なので、研究と就活の両立が可能です。

元人事Mayuka
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合説や就活イベントに行く機会も減るので、教授に嫌な顔をされないのも嬉しい…!

オススメの逆求人サイトは以下の記事で紹介しています。もし自分がいま就活生だったら利用していた優良サービスのみを厳選していますので、ぜひ参考にしてください。

▶︎逆求人サイトおすすめランキングTOP7|元人事が厳選&徹底比較

2.理系が不利に働くパターンがある

論理的思考力や課題解決力の高い理系学生は、基本的にどんな企業でも評価される傾向にありますが、社風によっては不利に働くパターンが考えられます。

理系があまり評価されないパターン


・接客業

・体育会系の社風
・チームプレーが求められる仕事

 

元人事Mayuka
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採用サイトに記載されている「求める人物像」をチェックすれば、各社の社風や評価される人物像がわかりますよ。

研究は「個人で取り組む」「人よりモノと向き合う」というイメージが強いことから、「うちの文化や仕事内容とはきっと合わないだろう」と理系学生の採用に消極的な企業もあるようです。

そのため理系が文系就職する際は、次章で紹介する「理系と相性のよい業界」を狙うのがオススメです。

理系の文系就職にオススメの業界6選

理系が文系就職する場合は、次の「理系と相性のよい業界」を狙うのがオススメです。

理系と相性のよい業界


1.メーカー

専門知識を活かして営業職や企画職として活躍できる。企業によっては、商品やサービスに関する技術的な専門知識を活かして提案する「技術営業職」も存在。

2.金融

金融とITを融合したFinTech(フィンテック)が注目されているため、統計学・機械学習・プログラミングなどの知識やスキルをもつ理系学生は文系職種でも重宝される。

3.コンサルティング

顧客の課題解決には論理的思考力が必須。

「情報収集→分析&課題の洗い出し→企画書作成→実施&効果測定」という仕事のプロセスが研究に通じるところがあるため、理系学生と相性がよい。

4.IT・情報通信

情報系の専門知識を活かして、ITシステムやサービスの提案営業ができる。論理的思考力や情報処理能力が求められるため、情報系以外の理系学生とも相性がよい。

5.医療・医薬品

医師や薬剤師などに医薬品の情報を提供するMR(医療情報担当者)なら、薬学や化学の専門知識を活かせる。

6.建築・不動産

建築・土木系の専門知識を活かせる。AI・IoTなどの活用も進んでいるため、情報系の学生を歓迎している企業も多い。

 

「なぜこの業界なのか」が答えられれば、上記以外の業界でももちろんOK。志望動機が明確なら理系が不利に働くことはありませんし、「自分のやりたいこと」が最優先です。

元人事Mayuka
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私は農学部で生態学を専攻していましたが、全然関係のないメーカー総合職に新卒入社しました。

ちなみに同じ農学部の文系就職仲間は、食品メーカーや飲料メーカーの営業職・地方銀行・製薬会社のMR(医療情報担当者)に就職する人が多かったです。

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まとめ

理系の文系就職はもったいなくないですし、研究を通して身につけたスキルは、就活だけでなく入社後も有利に働きます。

ただし、社風によっては理系採用に消極的な企業がある点や、文系就職したい理由が曖昧またはネガティブだと不合格になってしまう可能性が高い点は注意しましょう。

文系就職するかどうか迷うかもしれませんが、ぜひ「選んだ道を正解にする」という気持ちを大切にして、所属学部に縛られることなく自分のやりたいことに挑戦してみてくださいね。

本記事が少しでもあなたのお役に立てていれば幸いです。