研究職や技術職ではなく、営業職や総合職を志望している理系学生は意外に多いと思います。
かく言う私も、理系院卒でありながら総合職として新卒入社しています。
しかし、「もったいないかな?」「後悔しないかな?」と不安で、なかなか文系就職に踏み切れない人は多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、【理系院卒 ✖️ 日系大手の元人事 ✖️ 国家資格キャリアコンサルタント】の筆者が、文系就職して苦労した7つのことをご紹介します。
就活〜内定後〜入社後の3段階にわけて、文系就職した理系の実体験を赤裸々に綴っていますので、ぜひ参考にしてください。
文系就職してよかったことも紹介していますので、ぜひご一読ください!
目次
理系の文系就職は後悔する?
理系の文系就職は、前向きな理由が一つでもあれば後悔しないと思います。
「研究がつらい」「地方勤務がイヤ」など、文系就職したい理由がネガティブな人もいるかもしれません。
むしろ、ネガティブな要因こそが文系就職を目指す「きっかけ」になった人は多いと思います。
しかし、「理系職種が嫌だから」という理由だけで文系就職する人は後悔する可能性が高いです。
逃げの理由のみで文系就職を目指してしまうと、就活が上手くいかないだけでなく、その後の社会人生活も後ろ向きになってしまいます。
▶︎理系が文系就職する理由を聞かれたら?答え方・面接官の意図を元人事が解説
また、「文系職種の方が楽だし稼げると聞いたから」「研究職はやめとけと親に言われたから」など、噂や他人の意見に流され、自分自身の大切な決断を他者に委ねてしまう人も後悔する可能性が高いでしょう。
一方、「文系就職してやりたいことがある!」という場合は、後悔しない可能性が高いです。
万が一、仕事や会社があわなかったと感じても、その経験を踏まえて自分の適性や大切にしたい価値観、次にやるべきことが見えてくるからです。
成功者は失敗を失敗と思いません。
思うような結果が得られなくても、そこから何を学ぶか、そして「選んだ道を正解にする」というマインドが大切です。
文系就職してよかったこと
ちなみに私は以下の経歴ですが、文系就職したことに後悔はしていません。
・旧帝大 農学部卒
・旧帝大 農学研究科卒(修士)
・メーカー総合職に新卒入社(約5年勤務)
・フリーライターとして独立
※なぜ文系就職したのか気になる方はこちら
将来的に独立することを目指して入社したわけではなかったのですが、総合職としてさまざまな経験を積めたからこそ、個人事業主としての基盤がつくれたと感じています。
他にも、文系就職してよかったと感じたことは多々あります。
1.自分が本当にやりたかったことに挑戦できた
2.総合職としてさまざまな部署を経験できた
→スキル習得に加え、交友関係も広まった
3.研究で培ったスキルを仕事に活かせた
→論理的思考力、プレゼンスキル、PCスキルなど
→上司から高く評価され、同期より早く昇進できた
4.理系出身というだけで希少価値がある
→印象に残りやすく、すぐに名前を覚えてもらえる
→周囲とは違う角度から物事を捉えられる
5.首都圏で働く大学時代の友人と気軽に遊べた
→研究職や技術職は地方勤務の場合が多い
働くのは自分自身、価値観は人それぞれなので、理系の文系就職に正解・不正解はないと思いますが、理系→文系就職の一例として参考にしてもらえたら嬉しいです。
ちなみに、理系であることが就活で不利に働くことはありません。むしろ有利となる理由はこちらで解説していますので、ぜひあわせてご確認ください。
▶︎理系の文系就職はもったいない?むしろ有利な理由を元人事が解説
【実体験】理系の文系就職で大変だったこと7選
文系就職したことに後悔はありませんが、大変だったことももちろんあります。
1.研究が忙しくて就活に時間を割けられない
2.文系就職する理由を面接で聞かれる
3.研究以外のガクチカを求められる
4.入社準備と研究の両立が大変
5.周囲から頼られすぎてしまう
6.院卒だと等級や年齢がややこしい
7.研究職・技術職への転職は難しい
あくまで個人の体験談となりますが、文系就職しようか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
1.【就活】研究が忙しくて就活に時間を割けられない
研究が忙しく、他の学生と比べて就活に時間を割けられないのは大変でした。
自分で選んだ道なので仕方ないのですが、文系学生と同じ業界・企業・職種を目指しているのに、準備や対策の時間がなかなか取れないのは大きなデメリットだと思います。
就活は自己分析・業界研究・企業研究・Webテスト対策・ES提出・面接対策など、やることが山積みです。
企業探しの手間を省き、研究と就活を両立させたい方は、「プロフィールを入力して企業からのスカウトを待つだけでOK」な逆求人サイトを上手く活用しましょう。
逆求人サイトとは
企業側が学生のプロフィールを見て、「うちの選考を受けませんか?」とオファーを送る仕組みの就活サイトのこと。
各社の採用担当が適性を見たうえでスカウトするため、自分の価値観とあう企業や、自分では見つけられなかった隠れ優良企業と出会えるのがメリット。
理系にオススメの逆求人サイトは以下の記事で紹介しています。効率よく就活したい方はぜひチェックしてみてください。
2.【就活】文系就職する理由を面接で聞かれる
面接では、「理系なのになぜ文系就職?」と必ずと言っていいほど理由を聞かれます。
「理系なのに」「大学院生なのに」と言われるとどうしても萎縮してしまいますし、面接官を納得させられるほどの理由を用意するのは少し大変でした。
しかし、いざ自分が人事として採用する立場になってみたら、面接官がこぞってこの質問をする理由がわかりました。
面接官の質問の意図や、文系就職する理由の答え方は以下の記事で解説しています。
準備不足で上手く答えられなかったり、ネガティブな理由を答えてしまったりすると、マイナス評価どころか不合格になってしまう可能性が高いのでぜひ参考にしてください。
▶︎理系が文系就職する理由を聞かれたら?答え方・面接官の意図を元人事が解説
3.【就活】研究以外のガクチカを求められる
研究中心の大学生活を送っているのに、学業以外のガクチカを求められるのも大変でした。
研究活動をガクチカのテーマに選ぶのは、決して悪いことではありません。
ただ、高いコミュニケーション能力が求められる営業職や総合職の場合、チームで取り組んだ経験や、周りを巻き込んだ経験の方が評価されやすい傾向にあります。
そのため私は、各社の求める人物像にあわせて、サークル活動・アルバイト・研究室のHP作成の3つのガクチカを使い分けていました。
その企業で高く評価される人材のこと。「こんな人に内定出しますよ」という意味。
各社の採用HPに載っているので要確認!
ただでさえ研究で忙しいのに、それ以外の活動や実績が求められるのは理系の文系就職ならではの難点といえます。
▶︎【理系】研究以外のガクチカがない人必見!元人事が選考突破のコツを解説
4.【内定後】入社準備と研究の両立が大変
就活が終わって「あとは卒論(修論)だけ!やっと研究に集中できる!」と思った矢先、内定者懇親会や入社前課題などで予定が埋まってしまうのも大変でした。
内定者懇親会などの交流イベントはもちろん嬉しいし楽しかったのですが、課題は正直勘弁してほしかった…。
私の場合は数日で終わる簡単な課題だったのでまだマシな方でしたが、事前課題に加えて内定者研修もあった研究室の同期は、修論との両立が大変そうでした。
卒業前の忙しさは人それぞれですが、同期も人事も文系ばかりなので「文系を基準にスケジュールを組んでいるな〜」という感じは否めなかったです。
5.【入社後】周囲から頼られすぎてしまう
研究で培った論理的思考力・問題解決力・情報処理能力・プレゼンスキル・PCスキルなどは、就活だけでなく入社後も高く評価されます。
しかし、「理系ならではの強み」があるばかりに、上司や同僚から頼られすぎて「成功のパラドックス」に陥ってしまいました。
成功のパラドックスとは?
優秀で努力家な人ほど、以下のパラドックス(逆説)に陥ってしまうこと。
- 努力して成果を出す
- 周囲から評価され、さまざまな仕事を任されるようになる
- 仕事が増えすぎて疲弊してしまい、すべてが中途半端に
- 自分が本当にやるべきことや大切なことを見失ってしまう…
人事をやっていた頃は、「理系向けの就活イベントを企画してほしい」「エンジニアの採用も手伝ってほしい」「上司に見せる前の企画書をチェックしてほしい」など、自分の管轄外の仕事をたくさん頼まれました。
頼られるのは素直に嬉しかったですし、おかげで色んな経験も積めたと思っていますが、見方を変えれば「いいように使われていただけ」とも言えます。
担当外の仕事は人事評価の加点対象にもなりません…。
もしこのパラドックスに身の覚えのある方や、過去の私のように疲弊したくない方は、入社前までに「エッセンシャル思考」を身につけておきましょう!
就活や研究で忙しい時期に本を読むのは大変だと思うので、ざっくりと概要を知りたい方はこちらのマンガ版もオススメ。
ストーリー形式でわかりやすく、1時間もかからずサクッと読めます。
エッセンシャル思考を学んで自分の身と心を守りましょう。
6.【入社後】院卒だと等級や年齢がややこしい
これは理系だからというより、院卒だから苦労したことですが、同期や先輩との年齢問題は面倒でした。
先輩だけど年下、同期だけど年下。先輩や同期に変な気を遣わせてしまったり、院卒だと昇格スピードが早いため先輩の教育係を任されたり。
私の会社の場合、院卒は学部卒より職能等級が一つ上の扱いだったので、人事評価上は社歴が1〜3つ上の先輩と同じ扱いになるのも最初はプレッシャーに感じていました。
社員の職務遂行能力を基準に、区分・序列化すること。
勤続年数や評価に応じてレベルアップしていく。
7.【入社後】研究職・技術職への転職は難しい
「仕事を辞めたい!」と思ったときに、転職先候補が営業・企画・事務などの文系職種に限定されてしまうのも大変なところだと思います。
私は修士まで進んだからこそ「研究職は自分にあわない」と確信できたため、理系の道に未練はありませんでした。
しかし、入社後「やっぱり研究職がよかったかも…」となってしまった場合、文系職種から理系職種に転向するのは難しいのが現実です。
ただ最近は、第二新卒を行う企業が増えているため、万が一、理系の道に戻りたくなったら第二新卒として研究職・技術職に応募するという手があります。
社会人経験が3年未満の人材を採用すること(29歳以下=第二新卒として扱う場合も)。
新卒採用と同様に、スキルよりもポテンシャルが重視される。
これまでの経験やスキルが問われる中途採用での転職は難しいかもしれませんが、第二新卒なら文系職種→理系職種の転職が可能です。
入社3年以内ならもう一度新卒カードを使えるイメージです。
ただ、新卒よりも募集企業や採用人数が限られる点はデメリット。
第二新卒にチャレンジできるのは、一般的に入社3年以内の若手のみ。
通常、転職活動は3ヶ月〜半年ほどかかるため、このまま文系職種で働くか、それとも理系の道に戻るかは、入社2年以内を目安に判断すると心に留めておきましょう。
理系と文系、どちらの可能性も捨てたくないなら「アカリク」
理系と文系、どちらの道に進むか悩んでいるなら「アカリク」がオススメです。
理系に特化した逆求人サイトで、研究職・技術職のオファーが中心ですが、金融やコンサルティングなどの文系職種のスカウトも受け取れます。
・理系学生の登録数&利用率No.1
・平均14社からスカウトが届く
・研究内容の登録だけでOK
・院卒アドバイザーによる就活サポートあり
・内定直結イベントを毎月開催
プロフィール記入後は企業からのスカウトを「待つだけ」でOK。
理系学生にマッチするさまざまな職種のスカウトが届くため
という方にオススメです。
またアカリクなら、「理系大歓迎!」「理系こそ採用したい!」と考えている企業からオファーが届くため、文系よりも有利に就活を進められます。
利用企業は以下の通り。アカリクなら大手企業やニッチトップ企業の内定が目指せます。
アカリクに無料登録する
▶︎アカリクの評判・口コミは?理系院卒の元人事がメリット・デメリットを解説
理系ならではの強みをもっているのに、文系と同じ就活サイトしか使っていないのはもったいない!
ぜひこの機会に登録してみてくださいね。
まとめ
理系の文系就職は、「もう研究はしたくない」「地方勤務がイヤ」という後ろ向きな動機だけでは後悔してしまう可能性が高いです。
一方、文系就職してやりたいことがある方や、「選んだ道を正解にする」という気概のある方は、たとえ上手くいかなかったとしても後悔することなく、経験を踏まえて前進し続けられるでしょう。
今回紹介したのはあくまで私の一例ですが、文系就職しようか悩んでいる方の一助となれば幸いです。
あなたの就活が上手くいきますように。心からのエールをお送りします!