自己PRは、自分の長所をただ伝えるだけではNG。
企業が見ているポイントを知り、伝え方を工夫することではじめて高評価が得られます。
企業が見ているポイント
- 仕事で活かせる能力
- 求める人物像とのマッチング
- 論理的思考力
面接での伝え方
- 結論からわかりやすく伝える
- 1分前後で話す
- 求める人物像に近い強みをアピールする
- 数字を使って説得力をもたせる
- 「初頭効果」を利用する
本記事では、累計3,000人以上と面接してきた日系大手メーカーの元人事が、自己PRのコツを徹底解説します。
目次
面接官が自己PRで見ているポイント
自己PRで高評価を得るためには、企業が見ているポイントを知ることが大事です。
面接官は自己PRを通じて、以下の3点をチェックしています。
1.仕事で活かせる能力
2.求める人物像とのマッチング
3.論理的思考力
また、自己PRという定番の質問に対してしっかり準備できているか、面接への本気度もチェックしています。
ここからは上記3点について、元人事の視点で詳しく解説していきます。
1.仕事で活かせる能力
自己PRでは、仕事で活かせる能力が見られています。
「仕事で活かせる能力」というのは、資格や語学力などのスキル面だけではありません。
チャレンジ精神・粘り強さ・柔軟性などの性格上の強みも含まれます。
「仕事で活かせるスキルや長所がある=入社後の活躍の可能性が高い」ということ。
つまり企業は自己PRを通じて、ポテンシャル(伸びしろ)や採用するメリットを判断しています。
2.求める人物像とのマッチング
自己PRだけでなく面接全体を通して評価されるポイントではありますが、求める人物像とのマッチングも見られています。
たとえば同じ業界でも、以下のように求める人物像は異なります。
通信大手3社の求める人物像
ソフトバンク
変化を楽しみ、何事もチャンスと捉え挑戦する人
KDDI
周囲と真摯に向き合い、思いを一つにし変革していく力のある人
NTTドコモ
変化を楽しみ、答えのない困難にチャレンジするマインド
※上記は一部抜粋したものです。詳細は下記サイトをご確認ください。
つまり、求める人物像と近い強みをアピールすれば高評価され、逆に正反対の強みをアピールすればマイナス評価されてしまいます。
高評価を得るために嘘をつく必要はありませんが、各社の社風や文化にあうかどうか、価値観や行動特性のマッチングも見られていることは必ず押さえておきましょう。
3.論理的思考力
2と同様、自己PRだけでなく面接全体を通して評価されるポイントではありますが、論理的思考力も見られています。
矛盾や飛躍のない筋道を立て、相手にわかりやすく説明する力は、仕事をするうえで必須です。
面接での自己PRの答え方|高評価を得るコツ
自己PRで高評価を得るためには、自分の強みをわかりやすく伝える必要があります。
また、自己PRは面接の最初に聞かれることが多いため、心理バイアスの「初頭効果」を利用することも重要です。
1.結論からわかりやすく伝える
2.1分前後で話す
3.求める人物像に近い強みをアピールする
4.数字を使って説得力をもたせる
5.「初頭効果」を利用する
それぞれ、元人事の視点で詳しく解説します。
1.結論からわかりやすく伝える
自己PRをわかりやすく伝えるためには、PREP法を使って結論から話すのがポイントです。
PREP法とは?
Point(結論)→Reason(理由)→Example(具体例)→Point(結論)の順に話を展開するフレームワークのこと。
要点がわかりやすく、説得力の高い文章に仕上がる。
たとえば、以下の例文のように伝えてみましょう。
Point(結論)
私の強みは、自ら高い目標を掲げて努力する「向上心」です。
Reason(理由)
私はバドミントン未経験者でありながら、バドミントン部でのレギュラー入りを目指し、約1年間、毎日2時間の自主練習を行いました。
Example(具体例)
今までレギュラーメンバーは経験者のみで構成されていましたが、サーブ練習やフットワーク練習を毎日欠かさず行った結果、未経験者で初のレギュラー入りを達成しました。
Point(結論)
仕事においても自己研鑽に努め、目標達成やチームの成功に貢献したいと思います。
上記のように結論から話し、強みだけでなく根拠となる事実もあわせて伝えるのがポイントです。
なお、就活で使えるフレームワークは以下の記事で解説しています。
▶︎【ESの書き方】3つのコツだけ押さえればOK!元人事が例文つきで解説
2.1分前後で話す
自己PRの長さは1分前後が理想です。
人間が集中して話を聞けるのは1分半が限界のため、1分半以上だと「話が長い」「要点がまとまっていない」というマイナスな印象を与えてしまいます。
どこまで話すか悩んだり、あれもこれもと詳しく伝えたくなるかもしれませんが、1のフレームワークを使って簡潔に答えましょう。
なお、30秒以下の短すぎる自己PRもNG。
あなたの魅力が十分に伝わらないうえに、熱意がないというマイナスな印象を与えてしまう恐れがあります。
人が1分で話せる文字数は300文字前後のため、300文字を目安に自己PRの原稿をまとめてみてください。
3.求める人物像に近い強みをアピールする
前述の通り、自己PRは「求める人物像とのマッチング」がポイント。
そのため、志望企業の求める人物像に近い強みをアピールできれば、面接通過率を大幅UPできます。
求める人物像が「挑戦意欲の高い人材」の場合
◎:チャレンジ精神や向上心をアピール
△:傾聴力や責任感をアピール
求める人物像に無理によせたり、嘘をつく必要はありませんが、「求める人物像に近いことをアピールできるよう、企業ごとに自己PRの内容を変える」というのはかなり有効な戦略です。
▶︎求める人物像とは?知らないと損する就活のキホンを元人事が解説
4.数字を使って説得力をもたせる
自己PRは、なるべく数字を使って説得力をもたせるのがポイントです。
なぜなら、挑戦意欲がある・向上心が高い・粘り強いなどの抽象的な強みは、以下のように人によってとらえ方が異なるからです。
向上心がある
Aさん「TOEIC300点UPを目指して、毎日3時間勉強した」
Bさん「TOEIC100点UPを目指して、毎日30分勉強した」
このように、自分のスゴさを客観的に伝えるためには数字が必要です。
強みを裏付ける実績や成果は、以下のように具体的に伝えましょう。
スゴさを伝える表現の例
週に◯回、◯時間練習した、◯人中△位の成績を収めた、前年比◯%を達成した
5.「初頭効果」を利用する
自己PRは、最初の質問として聞かれることが多いです。
そのため、初頭効果という心理バイアスを上手く活用しましょう。
初頭効果とは?
「最初に与えられた情報が、その後もずっと記憶に残り続ける」という心理バイアスのこと。
営業などのビジネスシーンでもよく活用される。
つまり、自己PRで好印象を与えられれば、その後の面接における印象もよくなります。
逆に言ってしまえば、自己PR対策をおこたって出だしに失敗すれば、その後の挽回は難しいということ。
「自己PRを制するものが面接を制す」といっても過言ではありません。
そのため、1〜4のポイントを守りつつ、明るく笑顔で堂々と話すことが、面接通過率UPの秘訣です。
面接での自己PRのNG例
続いて、累計3,000人以上と面接してきた実体験をもとに、自己PRのNG例をご紹介します。
1.「自己紹介」になっている
自己PRと自己紹介を混同している就活生は意外に多いです。
「自己PRをお願いします」と伝えたものの、回答は大学名や学部、趣味や特技など…。
自己PRと自己紹介は以下のように異なるため、答える内容を間違えないようにしましょう。
自己PR | 自己紹介 | |
企業が見ているポイント | ・仕事で活かせる能力 ・求める人物像とのマッチング ・論理的思考力 |
・大まかなプロフィール ・人柄 ※本人確認やアイスブレイクとして聞く場合が多い |
伝えるべき内容 | 長所やスキル(企業が採用するメリット) | ・名前 ・大学、学部、専攻 ・趣味、特技、長所 |
2.暗記した原稿をそのまま読み上げる
面接対策として、事前に原稿を用意するのは素晴らしいことです。
しかし、原稿を丸暗記して、そのまま読み上げるような形で話すのはよくありません。
面接は「対話」であり、コミュニケーション能力も見られています。
そのため、相手の目を見て自分の言葉で話すようにしましょう。
- 「原稿を思い出すこと」ではなく、「自分の意見を的確に伝えること」に意識を向ける
- 原稿は要点や構成だけざっくりと覚える
- 相手の目を見て、適度に抑揚をつけながら話す
- 口角をあげ、聞き取りやすい声で話す
自己PRできることがない場合は?
「自分の強みがわからない…」という場合は、ストレングス・ファインダーで自分の”才能”を見つけてみるのがオススメです。
有料の適性検査ですが、「自分では当たり前すぎて気づけなかった長所」が5つも見つかります。
診断結果には、同じ強みをもつ人がどんな場面でどんな行動をしがちか、具体的な活躍エピソードがのっています。
そのため、解説を読んでいくうちに「私もそういえばあのとき…」と強みが発揮されたエピソードや場面を自然に思い出せるはず。
また、やりがいを感じる仕事・強みの活かし方・強みがマイナスに働く場面など、就活や今後の社会人生活に役立つ内容がわかるのも魅力です。
自己分析が深まる&自己肯定感も高まるため、「自己PRできることなんてない…」と自分に自信がもてない人こそ、ぜひ試してみてください。
▶︎ストレングス・ファインダーとは?就活への活かし方を元人事が解説
自己PRでよくある質問
最後に、自己PRでよくある質問に答えていきます。
1.自己PRとガクチカの違いは?
自己PRとガクチカは似て非なるもの。
企業が見ているポイントと伝えるべき内容は、以下のように異なります。
自己PR | ガクチカ | |
企業が見ているポイント | ・仕事で活かせる能力 ・求める人物像とのマッチング ・論理的思考力 |
・主体性、課題解決力、協調性 ・求める人物像とのマッチング ・論理的思考力 |
伝えるべき内容 | 長所やスキル(企業が採用するメリット) | 活動の過程(主体性や課題解決力をアピール) |
自己PRは「自分の強みやスキルが伝わるエピソード」、ガクチカは文字通り「学生時代にもっとも力を入れたこと」のように考えればうまく差別化できます。
扱うテーマは同じでもかまいませんが、切り口を変えるのがポイントです。
サークル活動(合宿幹事)がテーマの場合
自己PR:合宿の内容や管理の仕組みを刷新した「変革力」をアピール
ガクチカ:合宿の幹事として、計画から実行まで取り組んだ話
なお、ガクチカで高評価を得るコツは以下の記事で解説しています。
▶︎【ガクチカ】面接での伝え方|企業が見ているポイントを元人事が解説
2.ESと同じ内容でいい?
面接での自己PRは、ESや履歴書と同じ内容でOKです。
面接官は事前にESを読んでいるものの、もっと詳しく知りたいと思ってあらためて質問しています。
また大手企業の場合、ESの合否判定をした人と面接官は別人の場合がほとんど。
そのため、ESと違う強みをアピールするより、一番自信のある強みをアピールした方が、面接通過率を高められます。
3.グループ面接のときのポイントは?
自己PRは、グループ面接(集団面接)でもよく質問されます。
グループ面接は1対1の個別面接と違って、面接時間が短い&待ち時間が発生するのが特徴です。
そのため、ここまで解説したポイントに加えて、以下の3点にも注意しましょう。
- 30秒ver.も用意しておく
→時間が限られているため、秒数を指定される可能性アリ - 他の学生の話もちゃんと聞く
→聞く姿勢や態度も見られている!ぼーっとしていたり、退屈そうにしているのはNG
- 他人と自分を比較しない
→自己PRの内容が似ている、自分よりスゴい、などは気にしない
集団面接だと、ついつい周りと自分を比較して落ち込みがち。
しかし、面接中に自信をなくして、表情が暗くなってしまうのはNG。
「この中で1番を目指す!」のではなく、「自分の魅力を100%伝え切る」という気持ちで挑みましょう。
ちなみに、他の人と内容が被ったら評価が下がる、なんてことは一切ありません。
面接官は、相対評価ではなく絶対評価で合否判定しています。
集団面接は効率化のために実施しているだけで、学生同士を比較する意図はありません。
だからこそ周りを気にせず、全力で自分の魅力をアピールしてくださいね。
まとめ:企業の評価ポイントを知り、自己PRで高評価を得よう!
自己PRで企業が見ているポイントと、面接での伝え方は以下の通りです。
企業が見ているポイント
- 仕事で活かせる能力
- 求める人物像とのマッチング
- 論理的思考力
面接での伝え方
- 結論からわかりやすく伝える
- 1分前後で話す
- 求める人物像に近い強みをアピールする
- 数字を使って説得力をもたせる
- 「初頭効果」を利用する
また、暗記した原稿をそのまま読み上げるのではなく、表情・目線・声の大きさに気をつけながら自分の言葉で話すことも重要です。
ぜひ上記を参考にして、自己PRで高評価を獲得しましょう!
自己PRできることがない・自信がないという方は、以下の記事も読んでみてくださいね。
▶︎自己PRがない!と悩む人が今すぐやるべき5つの秘策|元人事が解説
あなたの就活が上手くいきますように。
本記事が少しでもお役に立てていれば幸いです。