ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)は、どの企業でも聞かれる定番の質問です。
しかし、頑張って取り組んだことをただ伝えるだけではNG。
企業の評価ポイントを押さえ、伝え方を工夫することではじめて高評価が得られます。
企業が見ているポイント
- 主体性や向上心
- 課題解決力
- リーダーシップや協調性
- 求める人物像とのマッチング
- 論理的思考力
面接での伝え方
- 結論からわかりやすく
- 「過程」を重点的に伝える
- 「成果」は数字を使って伝える
- 1分前後で話す
- 「対話」を意識して自分の言葉で話す
本記事では、累計3,000人以上と面接してきた日系大手メーカーの元人事が、ガクチカのコツを徹底解説します。
目次
面接官がガクチカで見ているポイント
ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)で高評価を得るためには、企業の評価ポイントを知ることが大事です。
面接官はガクチカを通じて、以下の5点を見ています。
1.主体性や向上心
2.課題解決力
3.リーダーシップや協調性
4.求める人物像とのマッチング
5.論理的思考力
元人事の視点で、それぞれ詳しく解説していきます。
1.主体性や向上心
ガクチカでは、主体性や向上心の有無が見られています。
社会人に必要なのは、受け身の姿勢ではなく、自ら考えて行動を起こせる力。
「誰かに言われたから頑張ったこと」より、「自発的に取り組んだこと」の方が評価されます。
2.課題解決力
ガクチカでは、課題解決力や実行力も見られています。
目標達成のために計画を立て、実行し、分析や改善を行うことは、社会人の基礎であり重要なスキル。
「なぜか上手くいったこと」より、「努力や工夫を重ねた結果、成功できたこと」の方が評価されます。
3.リーダーシップや協調性
ガクチカでは、リーダーシップや協調性など、周囲との関わり方も見られています。
どんな仕事も、基本的に一人ではできません。
会社という組織は、さまざまな立場&いろんな価値観をもつ人が協力しあうことで成り立っています。
そのため、「反対意見を押しのけて進めた」など、自分勝手な様子が伝わるガクチカはNG。
エピソードにもよりますが、「反対意見もあったが、◯◯したことで全員が納得できる形にした」など、周りを巻き込む力や柔軟性がアピールできるとより効果的です。
4.求める人物像とのマッチング
ガクチカでは、求める人物像とのマッチングも見られています。
たとえば同じ業界でも、以下のように求める人物像は異なります。
通信大手3社の求める人物像
ソフトバンク
変化を楽しみ、何事もチャンスと捉え挑戦する人
KDDI
周囲と真摯に向き合い、思いを一つにし変革していく力のある人
NTTドコモ
変化を楽しみ、答えのない困難にチャレンジするマインド
※上記は一部抜粋したものです。詳細は下記サイトをご確認ください。
ガクチカでは、自然と個人の興味関心や価値観が浮き彫りになります。
どんなことに興味があり、問題が生じたときはどんな行動を起こすのか。
企業はガクチカを通じて、自社の社風や文化にあうかどうか、価値観や行動特性のマッチングをはかっているのです。
5.論理的思考力
ガクチカだけでなく面接全体を通して評価されるポイントではありますが、論理的思考力も見られています。
矛盾や飛躍のない筋道を立て、相手にわかりやすく説明する能力は、仕事をするうえで必須です。
面接官はガクチカを通じて1〜4を見極めつつ、面接全体における説明力や要約力などのコミュニケーション能力を見て、総合的に合否判定しています。
面接でのガクチカの伝え方
企業側は、あなたの努力や成果、置かれている環境などをまったく知らない状態で質問しています。
そのため、自分の主体性や課題解決力を効果的にアピールし、わかりやすく説得力のある話にするためには、以下の5点に注意しましょう。
1.結論からわかりやすく話す
2.「過程」を重点的に伝える
3.「成果」は数字を使って伝える
4.1分前後で話す
5.「対話」を意識して自分の言葉で話す
実体験も交えながら、元人事の視点で詳しく解説します。
1.結論からわかりやすく話す
ガクチカをわかりやすく伝えるためには、STAR法を使って結論から話すのがポイントです。
STAR法とは?
Situation(状況)→Task(課題)→Action(行動)→Result(成果)の順に話を展開するフレームワークのこと。
主体性や課題解決力を効果的にアピールできる。
たとえば、以下の例文のように伝えてみましょう。
Situation(状況)
私はアルバイト先のカフェにおける新人定着率の向上に力を入れました。
Task(課題)
私が働いているカフェでは、新人の半数以上が3ヶ月以内に辞めてしまい、常に人手不足の状況でした。
Action(行動)
そこで私は、新人が辞めてしまう理由を「作業の複雑さ」だと仮定し、簡易的なマニュアルを作成しました。そして新人を含め全スタッフにマニュアルを配布し、修正と改良を重ねました。
Result(成果)
その結果、今年度の新人は80%以上が定着し、人手不足が緩和されました。また、作業ミスによってお客様からお叱りを受けることも減り、職場環境の改善にも貢献できたと思います。
上記のように話を展開すれば、「どんな課題に対して、どのようにアプローチしたか」「結果としてどんな成果が得られたか」がわかりやすく伝わります。
なお、就活で使えるフレームワークは以下の記事で解説しています。
▶︎【ESの書き方】3つのコツだけ押さえればOK!元人事が例文つきで解説
2.「過程」を重点的に伝える
ガクチカでは、主体性や課題解決力が見られているため、「成果」より「過程」が大事。
そのため、「どのようにして課題を乗り越えたか」「具体的にどんな行動を起こしたか」を重点的に伝えましょう。
また、なぜやろうと思ったか、動機や目的もあわせて伝えられれば、向上心や責任感もアピールできます。
3.「成果」は数字を使って伝える
面接官は、あなたがこれまで頑張ってきたことや、サークルやアルバイトの状況をほとんど知りません。
そのため、どれくらい難しいことを成し遂げたのか、どのくらいスゴい成績なのか、数字を使って具体的に伝える必要があります。
スゴさを伝える表現の例
週に◯回、◯時間練習した、◯人中△位の成績を収めた、前年比◯%を達成した
ただ、何でもかんでも数字を使えばいいというわけではありません。
無駄な情報を入れてしまうと逆にわかりづらくなるため、あくまで成果や実績を客観的に伝えるために数字を使うのがポイントです。
意味もなく数字を盛り込むのはNG
・約30名が所属しているサークルで〜
・大学2年生からはじめたアルバイトなのですが〜
・合宿は年に3回行うのですが〜
4.1分前後で話す
ガクチカの長さは1分前後が理想です。
就活メディアではよく「1〜3分がオススメ」と書かれていますが、正直、面接官の立場からすると、1分半以上は話が長いと感じてしまいます。
自分をアピールする場とはいえ、面接では面接官とのコミュニケーションが大事。
話が長くて要点がわかりづらいと、コミュニケーション面でマイナス評価されてしまいます。
どこまで話すか悩んだり、あれもこれもと詳しく伝えたくなるかもしれませんが、要点をしぼって簡潔に答えましょう。
なお、30秒以下の短すぎるガクチカもNG。
あなたの魅力が十分に伝わらないうえに、熱意がないというマイナスな印象を与えてしまう恐れがあります。
人が1分で話せる文字数は300文字前後のため、300文字を目安に内容をまとめてみましょう。
5.「対話」を意識して自分の言葉で話す
面接対策として、事前に原稿を用意するのは素晴らしいことです。
しかし、原稿を丸暗記して、そのまま読み上げるような形で話すのはよくありません。
面接は「対話」であり、コミュニケーション能力が見られています。
そのため、相手の目を見て自分の言葉で話すようにしましょう。
- 「原稿を思い出すこと」ではなく、「自分の意見を的確に伝えること」に意識を向ける
- 原稿は要点や構成だけざっくりと覚える
- 相手の目を見て、適度に抑揚をつけながら話す
- 口角をあげ、聞き取りやすい声で話す
回答後の「深掘り質問」にも備えよう!
ガクチカを伝えた後は、面接官から3〜5つほど深掘り質問されます。
たとえば、実際に私が面接官としてよくしていた質問は以下の通りです。
- なぜ◯◯しようと思ったのですか?
- そこまで頑張れた原動力は何だと思いますか?
- もっとも苦労したのはどんなところでしたか?
- ◯◯する際、どんなところに気をつけましたか?
- 反対意見はありましたか?また、どのように対処しましたか?
- その経験から、どんなことを学びましたか?
基本的に面接官は、前述の5つのポイントをチェックするために質問しています。
アドリブで答えるのが苦手な人ほど、上記を参考にして事前対策しましょう!
想定外の質問にもパッと答えられる人は、深く自己分析できている・面接対策を徹底している・頭の回転が早いなどと高評価につながります。
ガクチカでよくある質問
最後に、ガクチカでよくある質問に答えていきます。
1.ESと同じ内容でいい?
ESと面接は、同じ内容のガクチカでOKです。
面接官は事前にESを読んでいるものの、もっと詳しく知りたいと思ってあらためて質問しています。
また大手企業の場合、ESの合否判定をした人と面接官は別人の場合がほとんど。
そのため、ESと違うガクチカにするより、一番自信のあるガクチカで勝負した方が、面接通過率を高められます。
2.企業によって話す内容は変えるべき?
ガクチカは、企業によって戦略的に内容を変えるのがオススメ。
ガクチカが複数ある場合は、各社の「求める人物像」に一番近いエピソードを選びましょう。
たとえば、チャレンジ精神を求めている企業では、部活動やアルバイトで何かに挑戦した経験や、自ら目標を立てて高い成果を出した経験をアピール。
一方、チームワークを重視している企業では、周囲と協力して何かを成し遂げた経験をアピールすると効果的です。
3.ガクチカと自己PRの違いは?
ガクチカと自己PRは似て非なるもの。
企業が見ているポイントと伝えるべき内容は、以下のように異なります。
ガクチカ | 自己PR | |
企業が見ているポイント | ・主体性、課題解決力、協調性 ・求める人物像とのマッチング ・論理的思考力 |
・仕事で活かせる能力 ・求める人物像とのマッチング ・論理的思考力 |
伝えるべき内容 | 活動の過程(主体性や課題解決力をアピール) | 長所やスキル(企業が採用するメリット) |
ガクチカは文字通り「学生時代にもっとも力を入れたこと」、自己PRは「自分の強みやスキルが伝わるエピソード」のように考えればうまく差別化できます。
扱うテーマは同じでもかまいませんが、切り口を変えるのがポイントです。
サークル活動(合宿幹事)がテーマの場合
ガクチカ:合宿の幹事として、計画から実行まで取り組んだ話
自己PR:合宿の内容や管理の仕組みを刷新した「変革力」をアピール
もし「自分の強みがわからない…」という場合は、ストレングス・ファインダーで自分の”才能”を見つけてみましょう!
有料の適性検査ですが、「なぜか他人より上手くできてしまうこと」が5つも見つかります。
自己分析が深まる&自己肯定感も高まるため、ぜひ試してみてください。
具体的なやり方や就活への活かし方は、以下の記事で解説しています。
▶︎ストレングス・ファインダーとは?就活への活かし方を元人事が解説
まとめ:企業の評価ポイントを押さえて、効果的にガクチカを伝えよう!
ガクチカで企業が見ているポイントと、面接での伝え方は以下の通りです。
企業が見ているポイント
- 主体性や向上心
- 課題解決力
- リーダーシップや協調性
- 求める人物像とのマッチング
- 論理的思考力
面接での伝え方
- 結論からわかりやすく
- 「過程」を重点的に伝える
- 「成果」は数字を使って伝える
- 1分前後で話す
- 「対話」を意識して自分の言葉で話す
また、回答後の深掘り質問に備えることや、求める人物像にあわせてテーマを変えるのもポイントです。
ぜひ上記を参考にして、高評価されるガクチカを完成させましょう!
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あなたの就活が上手くいきますように。
本記事が少しでもお役に立てていれば幸いです。