
毎日忙しい大学院生にとって、研究しながら就活するのはかなり大変。
研究である程度の成果を出さないと卒業できないのに、研究を優先しすぎると就職先が決まらないというジレンマに苦しんでいる人は多いと思います。
また、修士まで進んだからこそ「いい会社に入りたい」「研究経験を無駄にしたくない」という人も多いはず。
そこで本記事では、【理系院卒 × 日系大手メーカーの元人事 × 国家資格キャリアコンサルタント】の筆者が「研究と就活を両立させて、納得内定を勝ち取る具体的な方法」を解説します。


目次
就活と研究を両立させる5つのコツ

就活が早期化&長期化している昨今、大学院生が就活と研究を両立させるのはかなり大変です。
正直、「スキマ時間を使おう!無駄を削ろう!」なんて次元じゃないと思います。
理系院生が限られた時間の中で納得内定を勝ち取るためには、学部生とは戦術を変えるのがポイント。
以下の5つを意識し、院生ならではの戦い方で就活に取り組みましょう。
1.企業探しは「最小限」かつ「プロに任せる」
2.企業側の視点から「逆算」して自己分析する
3.マルチタスクを避ける(就活と研究を同時進行しない)
4.教授が怖いなら「根回し」を徹底する
5.内定承諾後もゆるやかに就活を継続する
それぞれ詳しく解説していきます。
1.企業探しは「最小限」かつ「プロに任せる」
就活において、もっとも時間がかかる&終わりが見えないのが「企業探し」。
国内企業だけで360万社以上あるのに、一つひとつ自分にあうかどうか調べていくのは不可能です。
そのため、もともと興味があって志望度の高い大手企業は自分でエントリーし、優良中小企業やニッチ企業は就活エージェントに紹介してもらうのがオススメ。
就活をはじめたばかりの自分より、業界知識が豊富なエージェントの方が圧倒的に多くの優良企業を知っています。
とくに、理系就活に特化した「アカリク就職エージェント」なら、あなたの研究経験やスキルを活かせる企業を厳選して紹介してくれます。

- 隠れ優良企業は自力で探そうとせず、エージェントに紹介してもらう
- 闇雲に企業探しするくらいなら、本命企業の選考対策に時間をかける
というのが、研究で忙しい大学院生の戦い方です。

2.企業側の視点から「逆算」して自己分析する
企業探しと同じくらい時間がかかり、迷走しがちなのが「自己分析」。
でも、「企業が見ているポイント」を理解していれば大丈夫!
幼少期から細かく振り返ったり、丁寧に自分史をつくる必要はありません。
就活の3大質問である自己PR・ガクチカ・志望動機において、面接官が見ているポイントは以下の通り。

そのため、
・仕事で活かせる能力や強みは?
(資格や語学力などのスキル面、チャレンジ精神や柔軟性などの性格上の強み)
・志望企業の求める人物像とマッチしていることを裏付けるエピソードは?
・もっとも主体的に取り組んだ経験は?どうやって課題を乗り越えた?
・どんな仕事がしたい?それはなぜ?(過去の経験や価値観)
と、企業側の視点から逆算し、ポイントを絞って自己分析しましょう。
自己分析にかかる時間を最小限に抑えられるうえに、選考通過率も大幅UPします。

3.マルチタスクを避ける(就活と研究を同時進行しない)

1日の中で研究したり就活したり、同時並行で進めようとするのはオススメしません。
マルチタスクは脳に負担がかかるため、かえって生産性や作業効率が下がってしまいます。
そのため、「◯時までは研究に集中!」「土曜日は就活だけやる」など、メリハリをつけて取り組むのがオススメ。
もし、待ち時間が発生するような研究の場合は、スキマ時間にやることをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
スキマ時間にオススメ(目安:1分〜15分)
・日経電子版で企業動向やトレンドをチェック
・キミスカでSPI対策(スマホから5分単位でできる)
・OfferBoxなどの逆求人サイトにログイン(ログイン頻度が高いとオファー率UP)
・ビズリーチ・キャンパスでOB/OG訪問したい社員を探す
集中してやるのがオススメ(目安:30分以上)
・業界研究、企業研究
・自己分析、ES作成
・面接対策(想定質問まとめ、回答準備、逆質問の用意、前年度の選考体験記チェック)
・ログナビでSPI模擬試験(受検後、振り返りまで一気に実施)
あれもこれもと考えると、集中力が落ちるうえに余計なストレスが溜まります。
「スキマ時間は◯◯、平日夜は△△、土日は◎◎する!」など、就活に割けられる時間にあわせて、事前にやることを決めておきましょう。
「今日は何しよう?」と迷ったり、「何もできなかった…」と落ち込むことも無くなります。

4.教授が怖いなら「根回し」を徹底する
就活のために研究室を休むのを後ろめたく感じたり、教授に怒られるのではないかと不安になる人は多いと思います。
実際に私も、博士進学や公務員就職する人が多い研究室に所属していたため、かなり肩身のせまい思いをしました。
そのため、教授が怖かったり、周りの目が気になってしまう人は、就活が本格化する前に「根回し」をしておくのがオススメです。
「就活のために研究室を休ませてください!」とお願いするのではなく、「今後の研究スケジュールについてちょっとご相談が…」とあくまで相談ベースで伝えるのがポイント。
「研究成果をしっかり出すため」の相談なら、教授も悪い気はしないはずです。
悪い例
「就活のために研究室を休ませてください」とお願いする
× 研究をおざなりにしている印象を与えてしまう
× 一方的かつ急なお願いだと反感を買ってしまう
良い例
「今後の研究スケジュールについて相談させてください」と伝える
◯研究もしっかり頑張りたいという想いが伝わる
◯相談ベースなので教授への敬意が伝わり、了承を得やすい
柔軟にスケジュール調整できるよう、なるべく早い時期に相談するのがオススメです(理想はM1の春〜夏)。
すでに就活真っ只中の場合は、今日にでも相談しましょう。
ちなみに、教授に相談するタイミングは午後イチがオススメ。
昼食後は、空腹が満たされてポジティブな感情になりやすい&脳の働きが遅くなって判断力が鈍るからです。

相談する際は、いつ頃から&どのくらい就活が忙しくなりそうか、現時点での「予測」でいいので具体的に提示しましょう(就活スケジュール自体、知らない教授が多いので)。
・夏インターンの選考が通ったら、8月上旬に1週間ほどお休みをいただくかもしれない
・1月〜2月は週2〜3回面接が入り、半日お休みをいただくことが増えるかもしれない
・3月は東京で最終面接を受けることが増え、丸一日お休みすることが増えるかもしれない
・4月中旬には内定獲得して就活を終える予定 など

ざっくりとしたスケジュール感を事前に伝えておけば、急に面接が入って休むことになっても「今月から面接が増えるって言ってたからな〜」と多少は理解してもらえるはず。
何も言わずに一週間休んだり、「就活のため」といった漠然とした欠席理由では、教授や周りに不信感を与えてしまい、就活後の研究活動がやりづらくなってしまいます。
事前の根回しと誠実な対応を徹底し、就活と研究を両立させましょう!
5.内定承諾後もゆるやかに就活を継続する
「内定獲得したから、もう就活は終わり!あとは研究に専念しよう!」と、早々に就活を終えるのはオススメしません。
本当の意味での両立を目指すなら、ただの内定ではなく、とことん納得のいく内定を目指す必要があります。
納得内定を勝ち取るためには、本当に自分にあう企業かどうか見極めることも重要ですが、それと同じくらい「他社情報をチェックし続けること」が大事。
修士2年の5月〜8月に大手企業が2次募集をかけたり、より条件のいい企業からスカウトが届く可能性は大いにあります。
そのため、内定承諾して一段落したとしても、完全に就活からは離れず、就活:研究=1:9くらいの割合で就活を継続するのがオススメです。

新卒としての就活は一度きりです。
「本当にこの会社でよかったのかな」と不安になるくらいなら、定期的に時間をとって他社情報をチェックする。もしいい企業があったらエントリーしてみる。
そんな感じで内定式のある10月までは、ゆるやかに就活を継続してみてください。
睡眠時間を削るのは悪手!かえって就活が上手くいかない

就活と研究を両立させるために、睡眠時間を削ろうとするのは悪手です。
以下のデメリットがあるため、かえって就活が上手くいかなくなります。
・判断力の低下(ESが書けない、面接でうまく話せない)
・注意力の低下(締切や面接の予定をうっかり忘れる)
・免疫力の低下(体調不良で面接キャンセル)
・ネガティブ思考(自己否定や就活うつ)

そのため、睡眠時間を削るのではなく「日中の時間の使い方を工夫してみる」「朝1時間だけ早く起きてみる」のがオススメ。
夜遅くまで起きてダラダラ2時間やるより、朝早く起きて1時間やった方が圧倒的に作業が進みます。
睡眠時間を削るのは最終手段。
まずは時間の使い方を工夫する、あれこれ考えたり悩んだりする時間を、行動する時間に当てるというのを意識してみてください。

ふだんから自己嫌悪しがちな方は、以下の記事も読んでみてください。
就活と研究を両立させた人の体験談3選

最後に、就活と研究を両立させた方の体験談をご紹介します。
1.理系修士(生物系)
古代生物学専攻の馬次郎さんは、業界研究とWebテスト対策を徹底したことで、製薬・メーカー・SIer・コンサルの大手4社から内定獲得しています。
各業界と自分の研究を紐付ける考え方は、志望動機を考える際のヒントになるはず。
いつ何をしたか、具体的な就活スケジュールも公開しています。
2.理系修士(機械系)
機械系のpalさんは、修士1年の6月までは研究に専念、7月以降は就活に注力するというスタイルで両立を成功させました。
palさんのnoteに書いてある「研究内容の説明」や「研究以外のガクチカ」は、理系にとってはかなり参考になる内容です。
ただpalさんは、修士1年のうちに就活を終えた結果、内定ブルーに陥ってしまったそう。
そのため、「就活と研究を両立させるコツ」の5つ目として紹介した通り、やはり内定承諾後も他社を見続けることが重要です。
3.理系博士(化学系)
有機化学専攻のりおさんは、博士2年の4月から就活をはじめ、第一志望の化学メーカー(研究職)から内定獲得しています。
研究が忙しい中でも、夏インターンに参加し、週1ペースで説明会に参加。さまざまな企業と出会ったことで、自分の専門性を活かせる分野が明確になったそうです。
博士就活のスケジュール感が知りたい方は、ぜひりおさんのnoteを読んでみてください。

まとめ:大学院生ならではの戦い方で就活しよう!

研究で忙しい大学院生が納得内定を勝ち取るコツは以下の5つです。
就活と研究を両立させる5つのコツ
1.企業探しは「最小限」かつ「プロに任せる」
2.企業側の視点から「逆算」して自己分析する
3.マルチタスクを避ける(就活と研究を同時進行しない)
4.教授が怖いなら「根回し」を徹底する
5.内定承諾後もゆるやかに就活を継続する
効率よく自分にあう企業と出会い、研究経験を最大限に活かして就職するなら「アカリク就職エージェント」の活用は必須。
院卒のキャリアアドバイザーが、あなたにあう企業を厳選して紹介してくれるうえに、ES添削や面接対策などのサポートもしてくれます。
誰よりも研究に励み、高い専門性とスキルがあるのに、院生に特化したサービスを使わないのはもったいない!
ぜひこの機会に活用してみてくださいね。
あなたの就活が上手くいきますように。
本記事が少しでもお役に立てていれば幸いです。