

企業研究はなんとなく調べるのではなく、目的を意識して、必要な情報だけを効率よく集めるのがポイントです。
企業研究の目的
1.応募すべきか判断するため
(自分と企業の相性をチェック)
2.選考対策のため
(前年度の情報を調べて合格率を上げる)
企業研究で見るべきポイント
1.事業内容
2.企業理念
3.業績の推移
4.社風
5.求める人物像
6.待遇・働きやすさ
7.選考情報
本記事では、日系大手メーカーの元人事&国家資格キャリアコンサルタントの筆者が、企業研究の効率的なやり方と注意点を徹底解説します。

情報収集の方法や便利ツールも紹介!
この記事を読めば、何をどのように調べればいいかわかりますよ。

目次
企業研究は「応募すべきか判断するため」&「選考対策のため」

企業研究は、「その企業について詳しくなること」がゴールではありません。
以下の2点を意識して、必要な情報だけを効率よく集めることが大事です。
1.応募すべきか判断するため
(自分と企業の相性をチェック)
2.選考対策のため
(前年度の情報を調べて、ESや面接対策に活かす)

就活は時間が限られています。
上場企業だけでも4,000社近くあるため、その中から自分にあう企業を見つけ、選考対策を抜かりなく行うためには、情報の取捨選択が重要です。
ぜひ次章の「企業研究で見るべきポイント&情報収集の方法」を参考にして、効率よく企業研究してみてください。
企業研究のやり方|見るべきポイント&情報収集の方法

企業研究は、以下の7項目を上から順にチェックしましょう。
ひと通り調べ終わってから応募の判断をするのではなく、途中で「あわないな…」と感じたら他の企業に切り替えるのが効率化のコツです。
1.事業内容
2.企業理念
3.業績の推移
4.社風
5.求める人物像
6.待遇・働きやすさ
7.選考情報

それぞれ、調べ方もあわせて詳しく解説していきます。
1.事業内容
まずは、どんな事業を展開しているのか、誰に対してどんなサービスを提供しているのか調べましょう。
事業内容は、入社後の業務内容に直結する項目です。
事業内容に興味をもてなければ、モチベーション高く働くことはできません。
【見るべきポイント】
・主力事業は?
・BtoB?BtoC?
・どんな商品やサービスを提供している?
【調べ方】
・各社の採用サイト、コーポレートサイト
・マイナビ、リクナビ
コーポレートサイトとは?
会社の概要や商品に関する情報、財務状況や業績など、顧客や株主に向けて情報発信しているサイト。
求職者向けに特化した採用サイトより、総合的な情報が得られる。

「事業内容がよくわからない」「どんな業務かイメージできない」という場合は、200社以上の企業説明動画が見放題のJOBTVを活用するのもオススメです。
事業内容は、テキストより動画の方がイメージしやすいですよ。
2.企業理念
次に、なぜ1の事業を展開しているのか、企業の存在意義や大切にしている価値観を調べましょう。
1の事業内容にも興味があり、企業理念にも共感する場合は、かなり相性がいい会社といえます。
【見るべきポイント】
・何のため、誰のために活動している?
・どんな社会を目指している?
・どんな課題を解決しようとしている?
【調べ方】
・各社の採用サイト、コーポレートサイト
・マイナビ、リクナビ

3.業績の推移
入社して働き続けることを考えると、企業の将来性も大事。
業績の変化や今後の展望も調べましょう。
【見るべきポイント】
- 業績の推移
(売上高、営業利益、純利益など) - 好調 or 不調の要因
- 今後の経営戦略
(どの事業に注力するか)
【調べ方】
・各社のIR情報(コーポレートサイト)
・会社四季報オンライン
IR情報は、各社のコーポレートサイトに掲載されています。Googleで「社名 IR」と検索してもOK!
ただ、IR資料を読みとくのはなかなか大変なので、まずは会社四季報オンラインでざっくりとした情報を調べるのがオススメです。

出典:会社四季報オンライン

4.社風

無理なく、自分らしく働けるかどうか見極めるため、一緒に働く人の雰囲気や環境もチェックしましょう。
社風は1〜3と違って、実際に目で見て感じてみなければわからないことが多いです。
そのため、採用サイトやSNSだけで情報収集するのではなく、なるべくインターンや説明会などの対面イベントに参加して、違和感がないかどうかチェックするのがオススメです。
【見るべきポイント】
・どんな社員が働いているか
・社員の平均年齢、男女比
【調べ方】
・インターンシップや企業説明会
・OB/OG訪問
・社員インタビュー
(採用サイトやSNSなどに掲載)
・就活口コミサイト
(就活会議やOpenWorkなど)
「社風や環境を重視して就活したい」という方は、逆求人サイトのキャリアチケットスカウトを活用するのも一つの手。
働くうえで大切にしたいこと、理想のチームや環境、なりたい人物像など、仕事に対する価値観でマッチングできるため、自分らしく働ける企業と効率よく出会えます。
5.求める人物像
求める人物像をチェックすれば、その企業の雰囲気・価値観・文化がなんとなくつかめます。
たとえば、通信業界3社の求める人物像は以下の通り。
ソフトバンク
変化を楽しみ、何事もチャンスと捉え挑戦する人
KDDI
周囲と真摯に向き合い、思いを一つにし変革していく力のある人
NTTドコモ
変化を楽しみ、答えのない困難にチャレンジするマインド
※上記は一部抜粋したものです。詳細は下記サイトをご確認ください。
3社とも共通して挑戦意欲の高い人材を求めていますが、ソフトバンクはポジティブ思考、KDDIはチームワーク、ドコモは課題解決力を重視している印象です。

求める人物像は各社の採用サイトに載っています。Googleで「社名 求める人物像」と検索してもOK!
各社の求める人物像にあわせて自己PRすれば、ESや面接の通過率を大幅UPできるため、選考対策としても必ずチェックしたい項目です。

求める人物像と自分の強みが似ていたら相性◎!
選考がスムーズに進み、入社後も評価される可能性が高いです。
6.待遇・働きやすさ
給与・休日・労働条件など、待遇や働きやすさも必ずチェックしましょう。
1〜5までの内容がどんなによくても、ブラックな環境では健康的に働き続けることはできません。
【見るべきポイント】
- 平均年収
(初任給、賞与、年代別の平均年収) - 年間休日
(週休2日制 or 完全週休2日制) - 勤務時間
(平均残業時間、残業代の制度) - 勤務地
(転勤の有無、部署異動の頻度) - 住宅手当
(社宅の有無、家賃補助金額) - 3年後の離職率
- 有給取得率
【調べ方】
・就職四季報
・各社の募集要項
(採用サイトやナビサイトに掲載)
・就活口コミサイト
(就活会議やOpenWorkなど)
各社の実情を知るなら「就職四季報」が定番です。
この一冊で、1,300社の残業時間・離職率・有給取得率・業績・採用実績などがわかります。
また、志望企業がブラックかどうか判断するためには、以下の平均値と比較することも大事です。
大卒の初任給:23.7万円
(参考:厚生労働省 賃金構造基本統計調査)
30代の年収:451万円
(参考:doda 平均年収ランキング)
年間休日:112.1日
(参考:厚生労働省 就労条件総合調査)
3年後の離職率:34.9%
※大手企業の場合は28.2%
(参考:厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況)
有給取得率:65.3%
(参考:厚生労働省 就労条件総合調査)
離職率が低くて年収が高い会社が知りたい方は、以下のランキングも見てみましょう。
▶︎「新卒が辞めにくく年収高い」100社ランキング(東洋経済)
7.選考情報
1〜6まで調べて「選考を受けてみたい!」と思った場合は、選考対策に必要な情報も集めましょう。
【見るべきポイント】
- 募集職種、応募資格
- 選考時期
(インターン優遇の有無、ES締切日) - 選考フロー
(面接回数、グルディス選考の有無) - Webテストの種類
- ESや面接で聞かれる内容
【調べ方】
・就職四季報
・各社の募集要項
(採用サイトやナビサイトに掲載)
・就活口コミサイト
(就活会議やunistyleなど)
就活口コミサイトは選考対策に必須!
前年度のESや面接ではどんなことを聞かれ、どう答えたら合格できたか、先輩の体験談が載っているため、選考を有利に進められます。
実際に私が人事をやっていた会社の口コミを見てみたら、選考フロー・ESや面接での質問内容・インターン優遇の有無など、こと細かく書かれていて驚きました…。

企業研究を成功させる3つのポイント

冒頭で解説した通り、企業研究の目的は「応募すべきか判断するため」&「選考対策するため」です。
企業研究を成功させるためには、以下の3点に注意しましょう。
1.「やりたいこと」を軸に他社比較する
どんな仕事がしたいか決まっている人は、「将来やりたいこと」を軸に企業研究するのがオススメです。
「やりたいことを実現するためには、どの企業がもっとも適しているか」という視点で情報収集すれば、志望動機に必要な「その企業でなければいけない理由」が見つかります。
他社比較の例
・◯◯という強みがあるから、A社よりB社の方が実現できそう
・シェア率が高いC社の方が、より多くの人に貢献できそう
・新規事業の◯◯が伸びているD社の方が将来性がありそう
同じ業界でも、強みや今後の経営戦略、企業理念などは異なります。
さまざまな切り口で他社比較することで、説得力のある志望動機をつくりましょう。
2.給与や休日などの条件面も重視する
応募すべきか判断する際は、給与や休日などの条件面も重視しましょう。
「年収1,000万円!年間休日130日以上!」などと理想を掲げるのではなく、最低限のラインを決めるのがポイントです。
時間をかけて選考対策し、やっとの思いで内定獲得したのに、「やっぱりこの条件じゃ働きたくない…」となってしまったら、また1から就活をやり直さなければいけません。
時間を無駄にしないためにも、「やりたいこと」と「待遇」の2つの面で企業選びをしましょう。
後悔しない企業選びの方法は、以下の記事で解説しています。
▶︎【就活の軸】後悔しない決め方とは?元人事がキャリア理論をもとに解説
3.調べてもわからなかったことは「逆質問」に活かす
企業研究していく中で、調べてもわからなかったこと・もっと詳しく知りたいと思ったことは、その都度メモしておきましょう。
面接の最後に行われる「逆質問」のときに直接聞けば、疑問が解消できるうえに、企業に対する熱量をアピールできます。
逆質問とは?
面接の最後に「何か質問はありますか?」と面接官から尋ねられ、学生側から面接官へ質問できる機会のこと。
学生の疑問を解消するため&志望度をチェックするために行われる。
たとえば、「採用サイトにて◯◯への取り組みを拝見したのですが〜」などと、企業研究したうえで逆質問すれば、自然に熱意が伝わり、好印象を与えられます。
企業研究でよくある質問

最後に、企業研究でよくある質問に答えていきます。
1.いつやるべき?
企業研究をやるべきタイミングは、目的によって異なります。
- インターンの応募先を決めるための企業研究
大学3年生の6月〜 - 本選考の応募先を決めるための企業研究
大学3年生の12月〜 - 選考対策するための企業研究
大学3年生の2月〜

早いうちから企業研究をはじめ、多くの業界&企業を知れば知るほど、理想の企業と出会える確率が高まります。
また、選考通過率を高めるためには、なるべく早くから情報収集して対策を打つことが大事です。
2.どのくらい時間をかけるべき?

応募すべきか判断するための企業研究は、1社あたり30分〜60分が目安。
こちらで解説した通り、1社ずつ丁寧に企業研究する必要はありません。
採用サイト・会社四季報オンライン・就職四季報を使えば、必要な情報はすぐに集められます。

時間をかけるべきは、選考対策のための企業研究。
就活口コミサイトなどで、前年度の選考体験記を一つひとつ読んでいくことが合格につながるため、1社あたり1〜2時間かけてとことん対策するのがオススメです。
3.ブラック企業の見分け方は?
以下に当てはまる場合は、労働環境が劣悪な「ブラック企業」である可能性が高いです。
- 3年後の離職率が高い or 非公開
(平均は34.9%) - 年間休日が少ない
(平均は112.1日) - 残業時間が長い
(平均は21時間/月) - 初任給の高さを異様にアピールしている
→残業代や各種手当を含んだ金額を表示している
→基本給や昇給率の方が大事! - 固定残業代の表記があいまい(参考)

働きやすい環境かどうかは、実際に働く社員の口コミを参考にするのがオススメです。
匿名投稿のため信用しすぎるのも危険ですが、多くの人が同じことを指摘していた場合は、信憑性が高い情報といえます。
まとめ:企業研究は必要な情報だけを効率よく集めよう!

企業研究は「応募すべきか判断するため」&「選考対策するため」という目的を意識したうえで、以下の7点を調べるのがポイントです。
企業研究で見るべきポイント
1.事業内容
2.企業理念
3.業績の推移
4.社風
5.求める人物像
6.待遇・働きやすさ
7.選考情報
また、自分自身の「やりたいこと」を軸に企業比較することや、給与や休日などの条件面も妥協しないことが大切です。
ぜひ本記事を参考にして、効率よく企業研究してみてください。
「社風や環境を重視して就活したい!」という方は、仕事に対する価値観で企業とマッチングできるキャリアチケットスカウトの活用もオススメです。
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あなたの就活が上手くいきますように。
本記事が少しでもお役に立てていれば幸いです。