志望動機は、企業のどこに魅力を感じたか伝えるだけではNG。
自分自身の経験や価値観を盛り込み、「仕事を通して成し遂げたいこと(将来の夢)」を軸に、その業界&企業でなければいけない理由を伝えるのがポイントです。
少し難しいと感じたかもしれませんが、企業が見ているポイントと以下のコツさえ押さえれば、誰でも簡単に、説得力がある&熱意の伝わる志望動機がつくれます。
企業が見ているポイント
- 志望度や入社後のモチベーション
- 企業理解度
- 準備力や論理的思考力
面接での伝え方
- 結論から4ステップで伝える
- 過去の経験や価値観を盛り込み、説得力をもたせる
- その業界&企業でなければいけない理由を伝える
- 入社後やりたいことを伝えて締めくくる
- 相手の目を見て、自分の言葉で話す
本記事では、累計3,000人以上と面接してきた日系大手メーカーの元人事が、志望動機のポイントを徹底解説します。
例文やNGパターンも紹介!
この記事を読めば、面接通過率を大幅UPできますよ。
目次
面接官が志望動機を聞く理由
「志望動機なんて、わざわざ聞く必要ある?」と思う人もいるでしょう。
正直なところ、知名度や給与の高さ、福利厚生の充実度が本音の理由だということは面接官もわかっています。
しかし、以下の3点をチェックするために、お決まりともいえる志望動機を聞いています。
1.志望度や入社後のモチベーションをはかるため
2.企業理解度をチェックし、入社後のギャップを防ぐため
3.準備力や論理的思考力をチェックするため
それぞれ、詳しく解説していきます。
1.志望度や入社後のモチベーションをはかるため
志望動機を聞けば、その人の熱量や本気度がわかり、仕事に対するモチベーションがチェックできます。
入社したい理由や目的がちゃんとある人
→仕事に対するモチベーションが高い
→入社後の活躍&定着が期待できる
→採用したい!
入社したい理由や目的がない人
→仕事に対するモチベーションが低い
→入社してもすぐに辞めてしまう
→採用したくない…
仕事に対するモチベーションが高い人は、それだけ入社後の活躍&定着の可能性が高いということ。
企業側は長く働き続けてくれる人を採用したいため、志望動機が明確な人(=活躍&定着の可能性が高い人)に内定を出します。
2.企業理解度をチェックし、入社後のギャップを防ぐため
志望動機を聞くのは、学生の企業理解度をはかるためでもあります。
たとえば、国内事業が主力の企業に対して「グローバルに働きたいから」という志望動機はNG。
企業理解が足りないだけでなく、本人の「やりたいこと」と、その企業で「できること」にギャップがあるため、お互いのためにも内定は出せません。
「きちんと企業理解している&本人のやりたいことと業務内容がマッチしていること」が合格の条件です。
3.準備力や論理的思考力をチェックするため
志望動機は、面接で必ず聞かれる「想定内の質問」です。
そのため、「志望動機が上手く答えられない=準備や本気度が足りない」とマイナス評価されます。
また、面接全体を通して評価されるポイントではありますが、論理的思考力も見られています。
たくさん企業がある中で、なぜその企業に惹かれたのか。矛盾や飛躍のない筋道を立て、相手にわかりやすく説明する力は、仕事をするうえで必須です。
面接での志望動機の伝え方|高評価を得る5つのポイント
続いて、志望動機の答え方をご紹介します。
以下の5点さえ押さえておけば、面接で高評価を獲得できます。
1.結論から4ステップで伝える
2.過去の経験や価値観を盛り込み、説得力をもたせる
3.その業界&企業でなければいけない理由を伝える
4.入社後やりたいことを伝えて締めくくる
5.相手の目を見て、自分の言葉で話す
それぞれ、詳しく解説していきます。
1.結論から4ステップで伝える
志望動機は、以下の構成で結論から伝えるのがポイントです。
- 志望した理由(結論)
- 仕事を通して成し遂げたいこと(将来の夢)とその理由
- その業界&企業を選んだ理由
- 入社後やりたいこと(決意表明)
上記の4ステップで志望動機を伝えてみると…
志望動機の例文
- 私が御社を志望した理由は、誰もが自由に学べる環境をつくりたいからです。
- 私は高校生のとき、経済的な理由で塾に通えず、独学で勉強する難しさや不安を痛感しました。しかし大学での講義を通じて、専門家から直接学べる魅力と、興味のある分野を自由に学べる楽しさを実感し、将来は教育業界に携わり、誰もが自由に学べる環境づくりに貢献したいと思うようになりました。
- 教育業界の中でも、御社は幅広い年齢層の学習を支援しており、経済的にも物理的にも気軽に学べるオンラインサービスを提供しているため、非常に魅力を感じています。
- 御社に入社しましたら、オンライン事業の営業や企画に従事し、学習環境におけるさまざまな支障をとり払い、より多くの人々の成長や自己実現を支援していきたいです。
後ほど詳しく解説しますが、まずは自分自身の目標を伝え、なぜその業界&企業で成し遂げたいのか理由を述べると、説得力のある志望動機に仕上がります。
2.過去の経験や価値観を盛り込み、説得力をもたせる
1で解説した通り、志望動機では「仕事を通して成し遂げたいこと(将来の夢)」を伝えるのがポイントです。
「その企業だからやりたいこと」ではなく、「社会人としてどんな貢献をしたいか」。過去の経験や自分自身の価値観をもとに考えるのがポイントです。
【過去の経験や価値観】
高校生時代、経済的な理由で塾に通えなかった。
↓
【仕事を通して成し遂げたいこと】
誰もが自由に学習できる環境をつくりたい。
↓
【その業界&企業である理由】
教育業界の中でも顧客の幅が広い&誰もが気軽に利用できるオンライン学習サービスを提供しているA社で働きたい。
上記はかなり簡潔にまとめましたが、将来やりたいこととその理由が明確であればあるほど、志望動機に説得力が生まれます。
どんな人に対して、どんな風に貢献したいか。どんな社会課題を解決したいのか。
そして、なぜそう思うのか。どんな経験からそう思うようになったのか。
人によっては、就活の軸や志望業界を決める際に考えていた部分かもしれません。
ぜひ今一度、過去の経験や価値観を整理してみましょう。
ただ正直なところ、「やりたいことを見つける」というのが就活の最難関ポイント。
「やりたいことがない…」と悩んでいる方は、以下の記事も読んでみてください。
▶︎【就活】やりたいことはなくてOK!0からはじめる方法を元人事が解説
3.その業界&企業でなければいけない理由を伝える
1〜2で解説した通り、志望動機では「自分自身のやりたいことを、なぜその業界&企業で成し遂げたいのか」を伝える必要があります。
「その業界でなければいけない理由」は、以下のように将来やりたいことを深掘りすれば自然に見えてくるはず。
- どんな社会課題を解決したいか
- どんな方法&手段で貢献したいか
- どんな人に貢献したいか
→抱えている悩み、年代・性別・居住地など
そして、「その企業でなければいけない理由」は、以下の項目を同業他社と比較することで見えてきます。
- 企業理念
→大切にしている価値観
- 事業内容
→誰に対してどのように貢献しているか - 将来性
→今後どんな事業に注力していくか - 売上高や市場シェア
→貢献性や顧客の支持率 - サービスや商品
→歴史やこだわり
同じ業界でも、企業理念や今後の展望は企業によって異なります。
2で考えた「自分自身のやりたいこと」を実現するためという視点で、各社の強みや独自性を見つけてみましょう。
ちなみに、いろんな業界を見ている場合は「一貫性がない」とマイナス評価される恐れがあります。
もし面接官から「他に受けている企業は?」と聞かれたら、以下の記事の例文を参考にしてみてください。
▶︎【新卒向け】他に受けている企業は?質問の意図と答え方を元人事が解説
4.入社後やりたいことを伝えて締めくくる
1で解説した通り、志望動機の最後は「入社後やりたいこと」を伝えて締めましょう。
「入社後やりたいこと」は、ざっくりとした内容でOK。
いろいろと理由を説明した後、再度結論を述べることで、伝えたいメッセージや熱意がしっかり伝わるというテクニックです。
5.相手の目を見て、自分の言葉で話す
志望動機に説得力をもたせるためには、1〜4を守りつつ、相手の目を見て、自分の言葉で話すのがポイントです。
面接対策として事前に原稿を用意するのは素晴らしいことですが、丸暗記した原稿をそのまま読み上げるのはNG。
熱意が伝わらないうえに、コミュニケーション能力が低いとマイナス評価されてしまいます。
以下のポイントを押さえて、自分の言葉で話すようにしましょう。
・「原稿を思い出すこと」ではなく、「自分の意見を的確に伝えること」に意識を向ける
・原稿は要点や構成だけざっくりと覚える
・相手の目を見て、適度に抑揚をつけながら話す
・口角をあげ、聞き取りやすい声で話す
面接で高評価される志望動機の例文
前述の通り、志望動機は結論から4ステップで伝えるのがポイントです。
1.志望した理由(結論)
私が御社を志望した理由は、誰もが自由に学べる環境をつくりたいからです。
2.仕事を通して成し遂げたいこと(将来の夢)とその理由
私は高校生のとき、経済的な理由で塾に通えず、独学で勉強する難しさや不安を痛感しました。
しかし大学での講義を通じて、専門家から直接学べる魅力と、興味のある分野を自由に学べる楽しさを実感し、将来は教育業界に携わり、誰もが自由に学べる環境づくりに貢献したいと思うようになりました。
3.その業界&企業を選んだ理由
教育業界の中でも、御社は幅広い年齢層の学習を支援しており、経済的にも物理的にも気軽に学べるオンラインサービスを提供しているため、非常に魅力を感じています。
4.入社後やりたいこと(決意表明)
御社に入社しましたら、オンライン事業の営業や企画に従事し、学習環境におけるさまざまな支障をとり払い、より多くの人々の成長や自己実現を支援していきたいです。
ESの場合は「御社」→「貴社」に変えましょう。
上記の例文は326文字。口頭なら1分くらいで伝えられる内容です。
2が具体的かつ実体験にもとづくエピソードだと、志望動機に説得力が生まれ、自然に熱意も伝わります。
上記の構成なら、同じ業界の場合は基本的に3と4を変えるだけでいいため、1社ごとに0から志望動機を書く必要もありません。
ぜひ「仕事を通して成し遂げたいこと」を軸に、志望動機を書いてみてください。
しかし、「やりたいことがない」「根拠となるエピソードがない」という人は多いはず。
その場合は、内定者のESを見てインスピレーションを受けるのがオススメです。
ゼロから志望動機を考えるより、内定者のESを見て共感した志望動機を真似する&自分なりにアレンジした方が、短時間で効果的な志望動機をつくれます。
なんだか卑怯な感じがするかもしれませんが、内定者のESを読むうちに「そういえば私もあのとき…!」と志望動機につながる過去の経験を思い出す可能性もあります。
内定者のESを見るなら、約14万社の選考体験記が見られる「就活会議」がオススメ。
ESや面接でどんなことが聞かれるか、どう答えれば合格できるかわかるため、選考をかなり有利に進められます。
志望動機のよくあるNGパターン
続いて、実際にあった志望動機のNG例をご紹介します。
1.社員の人柄に惹かれたから
2.企業や商品のファンだから
3.これから伸びる業界だから
4.自己成長したいから
5.グローバルに活躍したいから
それぞれなぜダメなのか、元人事の視点で解説していきます。
1.社員の人柄に惹かれたから
「社員の人柄に惹かれたから」という理由だと、入社後に何をしたいのか伝わってきません。
また、会社にはいろんなタイプの社員がいるため、「性格があわない人と一緒になったら、すぐに辞めてしまいそう」と思われてしまいます。
社員の人柄や社風は、あくまで+αの部分。
前述の通り、志望動機では「何がしたいのか」「なぜその業界&企業なのか」という部分を伝えるようにしましょう。
2.企業や商品のファンだから
「昔からA社の商品を愛用しているから」など、企業や商品のファンだからという志望動機もよくありません。
企業理解や熱量があるのは素晴らしいことですが、それだけが理由だと「入社することがゴール」のように聞こえてしまいます。
企業に対する熱量だけでなく、「入社後やりたいこと」もきちんと伝えるようにしましょう。
企業はファンではなく、同じ志をもつ「仲間」を求めているというのがポイントです。
だからこそ志望動機では、企業と自分が同じ目標をもっていること(自分のやりたいことと、企業理念や事業内容がマッチしていること)を伝える必要があります。
3.これから伸びる業界だから
IT業界やエンジニア職に多いパターンですが、「これから伸びるから」「今後需要が増えるから」といった志望動機もよくありません。
それだけが理由だと、志望動機の説得力やオリジナリティがなく、流れに身を任せている受け身な印象を与えてしまいます。
「これからの社会に必要だから」という貢献意欲や責任感からわいた想いかもしれませんが、大事なのは「なぜ自分が」という部分です。
なぜその将来性のある業界で働きたいのか、どんな経験や価値観からそう思ったのか、他の就活生と差別化できるような根拠まで伝えるようにしましょう。
4.自己成長したいから
「成長したいから」という志望動機もNGです。
自分本位な印象を与えてしまううえに、目的と手段が混同しています。
自己成長は、目的ではなく手段。何を成し遂げるために成長したいのか、成長の「目的」を伝えることが大事です。
また、「将来的に会社を辞めて独立したい」と考えていても、面接の場では言わないようにしましょう。
辞める前提の人&本音と建前を使い分けられない人は、どの会社も採用してくれません。
5.グローバルに活躍したいから
「グローバルに活躍したいから」「語学力を活かしたいから」という志望動機もよくありません。
4と同様に、目的と手段が混同しています。
なぜ海外で働きたいのか、語学力を活かして何を成し遂げたいのか、志望動機ではグローバルに働く「目的」まできちんと伝えるようにしましょう。
また、グローバルに働くと一口に言っても、以下の4パターンが考えられます。
- 海外出張(短期間)
- 海外駐在(長期間)
- 多国籍な環境(外資系企業など)
- 英語を使って日本で働く(観光業・通訳・翻訳・貿易事務など)
自分はどの意味で「グローバル」と言っているのか、定義やイメージを明確にすることも大切です。
志望動機でよくある質問
最後に、志望動機でよくある質問に答えていきます。
1.何分で話せばいい?
志望動機は、1分〜1分半くらいで伝えましょう。
人間が集中して話を聞けるのは1分半が限界のため、1分半以上だと「話が長い」「要点がまとまっていない」というマイナスな印象を与えてしまいます。
なお、30秒以下の短すぎる志望動機もNG。
「面接官から深掘り質問されたら詳しく話せばいい」という受け身のスタンスでは、熱意がないというマイナスな印象を与えてしまいます。
人が1分間で話せる文字数は300文字前後のため、300文字〜450文字を目安に志望動機の原稿をまとめてみましょう。
2.ESと同じ内容じゃなきゃダメ?
志望動機は、基本的にES(履歴書)と同じ内容を答えましょう。
面接官は事前にESを読んでいるものの、もっと詳しく知りたいと思ってあらためて質問しています。
しかし、ES提出時から面接までの間に、企業理解や自己分析が深まって考え方が変わったり、ESに書いた内容を忘れてしまったりすることもあるでしょう。
その場合は、現時点における最新の志望動機を答えればOK。
ESと真逆なことさえ言わなければ、「一貫性がない」とマイナス評価されることはありません。
ちなみに大手企業の場合、ESの合否判定をした人と面接官は別人の場合がほとんど。
そのため、ESと面接のつながりはそこまで意識しなくて大丈夫です。
▶︎【ESの書き方】3つのコツだけ押さえればOK!元人事が例文つきで解説
3.別の会社でもよくない?と言われたら
「その理由なら他の会社でもいいのでは?」と、意地悪な質問をする面接官もいます。
なんだか偉そうだし詰められている感じがして嫌になりますが、面接官の意図は以下の通りです。
・他社と比較したうえで、もっと具体的な理由が聞きたい(企業理解度をチェックしたい)
・腑に落ちないから、もっと説得力のある理由が聞きたい(論理的思考力をチェックしたい)
・想定外の質問にも答えられるか、対応力・思考力・柔軟性をチェックしたい
「他の会社でもよくない?」と質問されてしまうのは、「その企業でなければいけない理由」が弱いから。
こちらを参考にして、その企業の強みや独自性を整理し、自分自身のやりたいことと上手く紐付けられるようにしましょう。
まとめ:企業の評価ポイントを知り、面接で高評価を得よう!
志望動機で企業が見ているポイントと、面接での伝え方は以下の通りです。
企業が見ているポイント
- 志望度や入社後のモチベーション
- 企業理解度
- 準備力や論理的思考力
面接での伝え方
- 結論から4ステップで伝える
- 過去の経験や価値観を盛り込み、説得力をもたせる
- その業界&企業でなければいけない理由を伝える
- 入社後やりたいことを伝えて締めくくる
- 相手の目を見て、自分の言葉で話す
過去の経験や自分自身の価値観を盛り込み、「仕事を通して成し遂げたいこと」を軸に伝えれば、説得力がある&熱意の伝わる志望動機になります。
ぜひ本記事を参考にして、人事から高評価される志望動機を完成させましょう。
実際に選考を突破した内定者ESも参考にしてみてくださいね。
あなたの就活が上手くいきますように。
本記事が少しでもお役に立てていれば幸いです。