養成講座に頑張って通い、本気で合格を目指しているからこそ、受験団体選びには慎重になりますよね。
また、養成講座でなんとなく話は聞いているものの、JCDAとキャリ協の違いがいまいちわからず、どちらで受験したらよいか悩んでいる方も多いと思います。
先に結論をお伝えすると、「◯◯の方が受かりやすい」など難易度に差があったり、優劣があったりするわけではありません。
ただ、論述の出題形式や面接の評価項目が異なるため、好みや相性は少なからずあると思います。
そこで本記事では、第25回を受験したばかりの筆者が最終的にJCDAを選んだ理由をご紹介します。
・JCDAとキャリ協の違い
・私がJCDAを選んだ理由
・キャリ協を選んだ人の意見
目次
JCDAとキャリ協の違いは?
国家資格キャリアコンサルタントの試験は、JCDA(日本キャリア開発協会)またはキャリ協(キャリアコンサルティング協議会)にて受験できます。
両団体とも受験料および学科試験の内容・日程は同じですが、実技試験(論述・面接)の内容が以下のように異なります。
とくに論述の出題形式が大きく異なるため、各団体の過去問をチェックしてから受験団体を決めるのがオススメです。
JCDA |
キャリ協 |
|
論述 | 4問(50点満点・50分) | 4問(50点満点・50分) |
論述の形式 | 逐語記録を読んで解答 | 事例記録を読んで解答 |
面接 | ロールプレイ15分+口頭試問5分(100点満点) | ロールプレイ15分+口頭試問5分(100点満点) |
面接の評価項目 | ①主訴・問題の把握 ②具体的展開 ③傾聴 |
①態度 ②展開 ③自己評価 |
実技試験の合格率 | 第26回 71.6% 第25回 63.0% 第24回 64.5% 第23回 62.5% |
第26回 58.6% 第25回 67.8% 第24回 65.8% 第23回 63.3% |
引用:日本キャリア開発協会HP・キャリアコンサルティング協議会HP
※試験内容・出題傾向は変わる可能性があります。最新情報は各団体HPにてご確認ください。
JCDAを選んだ5つの理由
あくまで個人の意見となりますが、私がキャリ協ではなくJCDAを選んだ理由をご紹介します。
繰り返しになりますが、どちらの団体でも「キャリアコンサルタントの試験」であることに変わりはなく、「◯◯の方が受かりやすい」など難易度に差があったり、優劣があったりするわけではありませんのでご注意ください。
理由①論述の出題形式がわかりやすい
一番の理由は「論述が逐語記録形式でわかりやすいから」です。
各団体の過去問を見ていただけるとわかると思うのですが、JCDAは逐語記録、キャリ協は事例記録を読んで解答します。
JCDAの問題文は文字数こそ多いですが、対話形式になっているためスラスラ読めて、内容がスッと入ってくるように感じました。
理由②論述対策が面接対策になる
次に大きな理由としては、「論述対策が面接対策に直結するから」です。
これも実際に過去問を見ていただけるとわかると思うのですが、JCDAの論述は逐語記録形式かつ良い例と悪い例の2パターンが記載されています。
そのため、「こんな問いかけをすればCLの気づきにつながるのか!」「こんな質問は絶対にしないようにしよう…!」など、過去問を解くたびに気づきと学びが得られ、質問の引き出しも増えていきます。
実際にJCDAの論述対策を重ねたら、CLとの適切な関わり方や質問がわかるようになり、前よりもロープレの苦手意識が和らぎました。
以下の記事では、私が面接試験対策としてまとめたロールプレイで使える質問例23選を紹介しています。
各質問の意図やポイントもあわせて解説していますので、「どんな質問をしたらいいかわからない」とロープレに苦手意識を感じている方はぜひ参考にしてみてください。
理由③面接では「傾聴」が重視される
論述だけでなく、面接の違いも大きな決め手となりました。
JCDAとキャリ協では、面接の評価項目が以下のように異なります。
JCDA |
キャリ協 |
①主訴・問題の把握 ②具体的展開 ③傾聴 |
①態度 ②展開 ③自己評価 |
具体的な評価基準は不明ですが、養成講座の講師からは「JCDAは傾聴、キャリ協は展開が大事」と聞きました。
どちらの団体で受けても養成講座で習ったかかわり行動・かかわり技法等を心がけることに変わりはないのですが、個人的に「展開が大事」と言われてしまうと問題解決を急ぐ悪い癖が出そうな気がしたのでJCDAにしました。
そして何より私自身が「CLとのラポール形成は慎重に時間をかけて行いたい」と常々感じていたため、傾聴を重んじるJCDAの方があっている気がした、というのが理由です。
なお、私が面接試験対策としてやった5つのことは以下の記事で紹介しています。ぜひあわせてご確認ください。
理由④面接の口頭試問が答えやすい
両団体は面接の評価基準だけでなく、ロールプレイ後の口頭試問の内容も異なります。
各団体のHPには「自らのキャリアコンサルティングについて試験官からの質問に答える」としか記載がないのですが、養成講座では以下のように異なると聞きました。
JCDA |
キャリ協 |
①CCとしてできたこと・できなかったこと ②CLの主訴 ③CC視点の問題 ④今後の展開 ⑤資格の活用方法 |
①CCとしてできたこと・できなかったこと ②今後の展開 (CLの主訴やCC視点の問題を踏まえて回答) |
※上記以外も質問される可能性があります。あらかじめご了承ください。
どちらも自己評価・CLの主訴・CC視点の問題・今後の展開について答える必要がありますが、JCDAの方が段階を踏んで質問してくれる印象です。
たとえばキャリ協で②の質問をされた場合、CLの主訴や問題点、その根拠となる発言、今後の展開や方策などを、自分の頭の中で整理しながら、筋道を立てて回答する必要があると思います。
しかし、JCDAの質問形式なら自分で順序立てて話す必要がないため、パッと言語化できず、ついつい話が長くなってしまいがちな私にとっては気が楽でした。
ちなみに養成講座のクラスメイトの中には「資格に対する熱意をアピールしたいからJCDAにした!」という人もいました。
なお、私の口頭試問対策や実際の回答例は以下の記事で紹介しています。ぜひあわせてご確認ください。
理由⑤試験会場内でお昼休憩がとれる
受験申請後にわかったことなので後付けの理由になってしまうのですが、JCDAは学科試験と論述試験の合間の約2時間、試験会場内でゆっくり休憩がとれたのもよかったです。
学科試験・実技(論述)試験日については、学科試験終了後に受験室を昼食場所として開放いたします。受験室内で昼食をとる場合は、ゴミは各自でお持ち帰りください。
また、学科試験片付け・実技(論述)試験準備のため、荷物を持って退室いただく時間がありますので、あらかじめご了承ください。
試験地区や会場ごとにルールは異なるかもしれませんが、キャリ協で受験した養成講座のクラスメイト情報によると、キャリ協の場合は学科試験が終わったら一旦外に出ないといけないそうです。
外に出て気分転換したい方はキャリ協の方がいいかもしれませんが、私のように会場内でゆっくり休憩したり、午後の論述に備えてノートを見返したり、養成講座のクラスメイトと雑談したい人はJCDAの方があっているかもしれません。
ちなみに試験当日のスケジュールは以下の通りです。
学科 10:10集合 10:30〜12:10試験(100分)
休憩 12:10〜14:10(120分)
論述 14:10集合 14:30〜15:20試験(50分)
※実技(面接)は別日に行われます。
キャリ協を選んだ人の意見
ここまで私個人のJCDA寄りの意見ばかり紹介してしまったので、キャリ協を選択した人の意見もあわせてご紹介します。
ちなみに養成講座のクラスメイトは、JCDAが7人、キャリ協が13人とキャリ協の方が人気でした。
全体の受験者数もキャリ協の方が多いので、やはりキャリ協が多数派のようです。
JCDA (日本キャリア開発協会) |
|
|
第24回 |
1,616人 | 3,448人 |
第23回 |
1,572人 | 2,960人 |
キャリ協を選んだクラスメイトに理由を聞くと、
といった声が多くあがりました。
たしかに私も、養成講座で配られた論述の解答例を見たときは、「JCDA、50分間でこんなにたくさん書かないといけないの!?」と焦りました。
でも実際に論述を解いてみるとわかると思うのですが、問1〜2に関しては自分で言語化する部分はあまりなく、問題文から該当箇所を抜き出してまとめるイメージです。
現代文でよくある「文中から抜き出して答えよ」に近いと思うので、個人的には文章力に自信がなくても大丈夫のような気がします。
JCDAを選んで少しだけ残念に感じたこと
学科・実技ともに一発合格できたため、JCDAを選んで後悔はしていないのですが、強いていえばJCDAが少数派で、受験仲間が少なかったことが残念でした。
養成講座終了後はクラスメイトとロープレ練習する人が多いと思うのですが、各団体で実技の内容が異なることもあり、私のクラスでは団体ごとに分かれて実技対策していました。
そのため、少数派だったJCDA組は限られた人数でロープレを回さなくてはならず、CL役とCC役の組み合わせの重複・相談内容のネタ切れ・練習のマンネリが若干生じていたように感じます。
もちろん少人数だからこそ一人ひとりと深く関われ、仲を深められたと思うのですが、「さまざまな人の意見を取り入れたい」「色んな人から刺激を受けたい」という方は、クラス内で多数派の団体に申し込んでもいいかもしれません。
ちなみに私は練習を重ねるうちに、「他の受験者のロープレも見てみたい!」「有資格者の意見も聞いてみたい!」と感じたので、LINEのオープンチャットで開催されている練習会に数回参加してみました。
まとめ
JCDAとキャリ協では、論述の出題形式や面接の評価項目が異なります。
とくに論述は人によって好みがわかれるため、各団体の過去問を一回ずつ解いてから判断するのがオススメです。
ただ正直なところ、合否を左右するのは受験団体選びではなく、勉強や練習の量だと思いますので、あまり神経質にならず、迷ったら直感で選んでもよいと思います。
また、「どうやって勉強したらいいかわからない」「一発合格者はどんな試験対策をしたの?」という方は、以下の記事がオススメです。
忙しい中でも効率よく試験対策できる方法をまとめていますので、ぜひご確認ください。
本記事が少しでもお役に立てていたら幸いです。皆さんの努力が実を結びますよう祈っております!